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名古屋高等裁判所 平成4年(ネ)830号 判決 1994年8月31日

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別紙当事者目録記載のとおり

主文

一  本件各控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  控訴人に対し、被控訴人中濃窯業株式会社は金二億五〇〇〇万円、同兵庫窯業株式会社は金一一三八万円、同大丸産業株式会社は金一一三八万円、同丹羽靖は金一九〇万円、同神谷國茂は金一二六万円、同有限会社北角建設工業は金三二九万円、同岡田實は七九万円、同有限会社神國製瓦は金一二六万円及び右各金員に対する各本件訴状送達の日の翌日から完済まで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

3  控訴人に対し、原判決別紙一「請求金額一覧表」の(1)欄記載の番号1、3ないし6及び8ないし16の被控訴人らは、それぞれ当該被控訴人に対応する同表(4)欄記載の金員及び右各金員に対する各本件訴状送達の日の翌日から完済まで年五分の割合による金員並びに同表(5)欄記載の日から原判決別紙四「第一イ号物件目録」記載の各物件(以下「第一イ号物件」という。)につき原判決別紙六「第一イ号方法目録」記載の方法(以下「第一イ号方法」という。)を用いる使用を中止するまで(ただし、平成三年六月七日を限度とする。)一か月につき当該被控訴人に対応する原判決別紙一「請求金額一覧表」の(3)欄記載の各金員をそれぞれ支払え。

4  控訴人に対し、

(一) 被控訴人横山久子は、金一六五万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日から完済まで年五分の割合による金員並びに昭和五九年一二月二〇日から亡横山武一が第一イ号物件につき第一イ号方法を用いる使用を中止するまで(ただし、平成三年六月七日を限度とする。)一か月につき金八万二五〇〇円の割合による金員を、

(二) 被控訴人横山佐喜郎、同前田芳弘、同横山昌司は、各金五五万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日から完済まで年五分の割合による金員並びに昭和五九年一二月二〇日から亡横山武一が第一イ号物件につき第一イ号方法を用いる使用を中止するまで(ただし、平成三年六月七日を限度とする。)一か月につき各金二万八五〇〇円の割合による金員を、

それぞれ支払え。

4  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

5  仮執行の宣言

二  被控訴人ら

主文同旨

第二  当事者の主張

事案の概要は、次に付加、訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第二 事案の概要」欄に記載されているとおりであるから、これを引用する。

一  原判決七頁九行目の次に左記のとおり加える。

4 横山武一の死亡と相続関係

横山武一は、平成五年二月二四日死亡し、その債務は、同人の妻である被控訴人横山久子が二分の一、いずれも同人の子である被控訴人横山佐喜郎、同前田芳弘、同横山昌司が各六分の一の割合による相続により承継した。

二  同一七頁五行目の「幅のある表現をしているのであるから、」を「幅のある表現をしており、本件特許出願当時の瓦製造窯業界においては、温度管理は職人の勘と経験に頼るところが多く、五〇℃から一〇〇℃の誤差が生ずることもあり、また、窯内部の温度差も四〇℃から一〇〇℃もあったため、温度管理は、相当の幅をもって行われていた実情にあったのであるから、右の『付近』の概念は、一〇〇℃程度をいうものと解すべきであり、」と改める。

三  前記4の横山武一の死亡と相続関係については認める。

第三  証拠関係

本件記録中の書証目録及び証人等目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

第四  争点に対する判断

当裁判所も、また、控訴人の被控訴人らに対する本訴請求は、いずれも失当であると判断する。そして、その理由は、次に付加、訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第三 争点に対する判断」欄に記載されているとおりであるから、これを引用する。

一  原判決三八頁六行目の「証拠(甲三〇、四一)は、右の証拠に照らして」を「証拠(甲三〇、四一、五〇、五一)は、右各証拠、殊にこれらにより認められる右甲五〇、五一よりも後に被控訴人中濃窯業が作成した本件ガス窯のカタログである甲二には、それまでの右窯を使用してきた瓦製造業者らの使用実績を参考に燻化開始の最高温度を九〇〇℃を下回る温度に修正している事実に照らしてたやすく」と改める。

二  同四四頁二行目の「一〇〇℃の幅を設けている上、」を「一〇〇℃の幅を設けており、その文理上も、その幅は一〇〇℃よりもかなり少ない数値をさすものであることは、明らかである上、」と改める。

三  同四四頁七行目の「できず、」を「できない。」と改め、その次に「なお、控訴人は、本件特許出願当時、燻瓦製造の温度管理の誤差が大きかったこと及び窯内部の温度差が大きかったことからも、右『付近』の意義は、大きい幅の温度を表現しているものと解すべきである旨主張するが、右の温度の設定は、その性質上、単なる温度の測定の誤差とは異なり、特許発明の技術的範囲を画する構成要件として設定された温度の許容範囲を示すものであるから、実際上温度管理の誤差が大きく、窯内部の温度差が大きいことをもって、特許請求の範囲において特許出願人が自ら限定した燻化開始温度の範囲を大幅に拡大して解すべき理由とすることもできず、」を加える。

第五  結論

よって、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であり、本件各控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 塩崎勤 裁判官 猪瀬俊雄 裁判官 河邉義典)

当事者目録

名古屋市中村区那古野一丁目三九番一二号

控訴人 ニイミ産業株式会社

右代表者代表取締役 新美治男

右訴訟代理人弁護士 小川剛

村橋泰志

木村良夫

太田耕治

渡辺一平

岐阜県本巣郡本巣町一九二三番地の二

1 被控訴人 高坂甚吉

愛知県安城市小川町志茂二三四番地

2-1 被控訴人 亡横山武一訴訟承継人

横山久子

愛知県安城市小川町志茂二三四番地

2-2 被控訴人 亡横山武一訴訟承継人

横山佐喜郎

愛知県安城市里町証文山三〇番地一

2-3 被控訴人 亡横山武一訴訟承継人

前田芳弘

愛知県安城市小川町志茂二三四番地

2-4 被控訴人 亡横山武一訴訟承継人

横山昌司

三重県四日市市曽井町九二二番地の一

3 被控訴人 小柴三郎

津市一身田大古曽八二九番地

4 被控訴人 水谷芳雄

兵庫県三原郡南淡町阿萬東町四九四番地

5 被控訴人 山口瓦株式会社

右代表者代表取締役 山口康一

岐阜県不破郡垂井町表佐八七一番地

6 被控訴人 丸治製瓦株式会社

右代表者代表取締役 多和田治市

岐阜県美濃加茂市本郷町九丁目一八番三七号

7 被控訴人 中濃窯業株式会社

右代表者代表取締役 板津孝治

群馬県甘楽郡甘楽町大字福島一四五七番地

8 被控訴人 小林瓦工業株式会社

右代表者代表取締役 小林進

岐阜県加茂郡坂祝町黒岩一三八七番地の九

9 被控訴人 株式会社兼松製瓦工業

右代表者代表取締役 兼松智久

岐阜市長良三三〇七番地

10 被控訴人 高木製瓦こと

高木一男

愛知県高浜市高浜町松本四二番地

11 被控訴人 合資会社唄善瓦工業所

右代表者無限責任社員 神谷正之

京都府向日市寺戸町殿長一六番地

12 被控訴人 株式会社瓦熊

右代表者代表取締役 石井準一郎

兵庫県三原郡西淡町松帆櫟田二〇六番地の一二

13 被控訴人 兵庫瓦産業株式会社

右代表者代表取締役 島田勇

兵庫県三原郡西淡町松帆古津路六一九番地

14 被控訴人 井上瓦産業株式会社

右代表者代表取締役 井上義昭

愛媛県越智郡菊間町佐方三九番地

15 被控訴人 オチ新瓦産業株式会社

右代表者代表取締役 越智告

三重県鈴鹿市野町九九番地

16 被控訴人 杉野八蔵商店こと

杉野敏武

兵庫県三原郡西淡町松帆古津路八六八番地

17 被控訴人 兵庫窯業株式会社

右代表者代表取締役 濱口萬米

兵庫県三原郡西淡町津井一八九〇番地の一

18 被控訴人 大丸瓦産業株式会社

右代表者代表取締役 山下済

岐阜県加茂郡坂祝町深萱二四〇番地

19 被控訴人 丹羽製瓦こと

丹羽靖

愛知県高浜市田戸町五丁目一番地二三

20 被控訴人 神国製瓦所こと

神谷國茂

三重県久居市新町一一〇〇番地の二

21 被控訴人 有限会社北角建設工業

右代表者代表取締役 北角利男

愛知県渥美郡田原町大字野田字弥蔵一七番地

22 被控訴人 岡田瓦店こと

岡田實

愛知県高浜市田戸町七丁目六番地一四

23 被控訴人 有限会社神國製瓦

右代表者代表取締役 神谷國茂

右二六名訴訟代理人弁護士 梨本克也

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